時間越しの景色

冬の野山の寂しげな雪たちも、時間越しの景色にはきっといないんだろうな

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そして誰もいなくなった…

あれは小学校の頃だ。
月並みに、こんな僕にも仲のいい人たちはいたのだ。
はしゃぎまわり、ふざけ、時にはけんかをし、そんな掛け替えのないひと時を過ごした仲間が。
しかし、小学校卒業するとともに、そんな人間はいなかったのだと気がついた。
いや、正確にはいる、確かに存在するのだが、それはもう僕のいる世界ではない。
彼らは遠い遠い、僕のいない世界の住人になってしまった。

中学校、特段勉強ができるわけでもない僕は、なり行くままに公立の中学校へと入学。
確かにそこでも僕は人と時を過ごした。
部活動に参加し、放課後にはだべり、遊ぶ。
休日にはどこかに出かけたり、そんな日々を送っていたように思う。
しかし、今はどうだろう。
そんな世界などあたかも虚像であるかのように、今を映さない。
時代の変遷に飲まれた名前すらわからない幾千もの人々と同じように、そうやって消えていった。
もちろん、彼らからすれば僕も同じ幾千ものうちの一人にしか過ぎないのだから、当然だろう。

そして高校。
いまやほぼ100%の人が進学する場所である。
義務教育ではないにもかかわらず、多くの人間は勉学を望まないのにこの道を選ぶ。
僕だって勉強がしたくて高校に入ったわけではないから理由はよくわかる。
要は遊びたいだけなのだ。
だから僕も遊んだ。
馬鹿なことをするのが、これほど楽しいことだなんて知らなかったから。
あまりに早く過ぎる時間は夢想のように、しかし夢想であるが故にいまや何も残らない。
こうしてまた僕は持たざるものとして時間を重ねただけだった。

大学。
このあたりからは諸処道が分かれていくのだろうか。
働くもの、道をはずすもの、行く末をしっかりと見つめるもの、そろそろそれが明確に現れる時期だ。
僕は多分そのどれにも属せなかったのだと思う。
だから、持たざるものは持たざるものらしく何も手にしなかった。
だって、手にしたところで失ってしまうのだから。
それならば、はじめから持たないのと一緒だ。
むしろ、失うことのつらさを味あわない分、はじめから持たないほうが正しいのかとさえ思う。
故に僕が何も手にしなかったように、僕を手にする人間すらもいないのだ。
それが等価交換というもの、残酷かもしれないけれど、そんなものなのだ。

そして今、僕は何を持っているのだろうか。
いや、やはり何も持ってはいない。
何かを失うことが怖くて何も手にしなかったからだ。
しかし、考えてみればたくさんのものを失ったのではないだろうか。
それは何よりも掛け替えのないものだったのではないだろうか。
時間、お金、仲間、そんな風に思うかもしれないけどそれは違うと思う。
きっとそういうことではない、もっと何か、重要なこと。
なんだろう…

……
…………
………………
……………………
…………………………
………………………………あれ?

持たざるものとはいえ、確かに持っているもの、それがない。
数々の回想を重ねても、それはどこにもない。
だからこそ、僕は持たざるものであり、また他者に認識もされていないのかもしれない。
だって、僕がいないんだもの。
追憶の糸をどれだけ引っ張ってきてもそこに僕はいない。
僕が何をし、また僕が何を思ったのか、それがない。
僕が存在しないから、僕の周りには誰も存在しないんだ。
なんだ、わかってみれば単純なことじゃないか。
初めから僕はどこにもいなかったんだ。

それじゃあ、ここにいる僕はいったい何なのだろう。


そんな意識が僕を苛み、こうして僕はまた何もかも失うのだろう。
矛盾を抱える世界の中、その矛盾、矛と盾に挟まれた人間はいったいどうなってしまうのだろうか。
きっと誰にも認識されない、そんな感じなのだろう。
だから僕は何も持たない。
だって、僕自体がないのだから…

オワリ
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  1. 2008/02/10(日) 15:41:52|
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